個人情報が含まれていますので、年齢、時期などは少しずらしてあります
①きっかけ
2015年に来院されたときから、左右の下顎の臼歯がありませんでした。

元々通院していた歯科医院ではインプラントをやっておらず、 義歯がすでに入っていましたが、 ご本人は不自由で固定式が良いとの思いで来院されました。

レントゲンやCTなどの資料で骨量は十分ありましたので、インプラント可能と判断しました。 (上の画像はイメージです)
当時は当院にはCTが未設置で、患者さんに大学病院まで撮影をしに行ってもらい、40センチ四方の大きなフィルムで画像を郵送してもらっていました。
②インプラントの選択。ワンピースかツーピースか?
インプラントは2種類あって、フィクスチャー(骨の中に埋もれる部分)とアバットメント(その上の土台)が分かれているツーピースインプラントと合体しているワンピースインプラントがあります。

イラスト解説:最後に入る歯の形をした被せ物は「上部構造」と呼ばれます。ツーピースインプラントは骨の中に埋まる「フィクスチャー」部分と、被せの嵌る土台「アバットメント」が分割式で、ワンピースインプラントはフィクスチャーに最初からアバットメントがくっついているものと考えてください。
ツーピースインプラントは埋めた後に歯茎をいったん閉じてしまうので感染のリスクが少ないメリットがあります。しかし、のちに歯茎を開いてアバットメントを装着する必要があります。つまりオペが2回必要なのです(2次オペと言います)。
ワンピースインプラントは土台と一体なので、一回の手術で済む反面、インプラントが骨とくっつくのを待つ期間中に感染を起こすリスクがやや高く、また、口腔内に嚙めそうな土台が出てしまっているので思わずそこで噛みたくなってしまいます。
インプラントはすぐ骨とくっつくわけではなく約2か月、力がかからないようにしなければなりません。つまり噛めそうでも噛んではいけないのです。それがもどかしいのです。
③患者さんの思い
患者さんとしては、なるべく早く左右両側で噛みたいとのご希望でした。そこで考えました。
1:ワンピースインプラントを選択した場合:
右側の奥歯に3本のワンピースインプラントを埋入。
→2か月間噛まないように過ごしてもらい、 その後1か月弱の時間で上部構造(歯の形の部分)を装着。
→右側が噛めるようになった後に左側に3本のインプラントを埋入。
→2か月後に上部構造を1か月弱の期間で製作、装着。
つまり全工程で6か月ほどかかります。
インプラントが骨とくっつくまでの2か月、そちら側で噛まないようにしてほしいので、右側全工程終了後左側が始まります。

2:ツーピースインプラントを選択した場合。
右側にインプラントを3本埋入の手術。骨とくっつくまで2か月待つ。
→その間に左側のインプラントを3本埋入手術。骨とくっつくまで2か月待つ。
→最初のオペから2か月後右側の2次オペ。
→2回目のオペから2か月後左側の2次オペ。
→2週間後、左右同時に上部構造を製作。全工程で4か月弱。

骨とくっつくまでの2か月間、歯肉の下で保護されるので多少そちら側で噛んでもリスクはほぼ無い。なので、右側の手術後すぐ左の手術に取り掛かれる。
④実際の段どり
この患者さんは実は歯並びがあまりよくなく、 どれだけ歯磨きを頑張っても口腔内が不潔になりやすいリスクがありました。
そのようなこともあり、ツーピースインプラント左右時間差で進めることにしました。
1:2015年12月中旬:右側にツーピ-スインプラントを3本埋入
2:2016年2月下旬:左側にツーピースインプラントを3本埋入
3:2016年5月中旬:右側2次オペ
4:2016年5月下旬:左側2次オペ
5:2016年7月初旬:左右ともに仮歯を作りやっと噛めるように
6:仮歯を入れ少し様子見をして10月に上部構造装着。全工程終了。
患者さんの最初のご希望より期間が長くなってしまいましたが、 ご協力を得られましたのでその分慎重に治療を進めることができました。
⑤予後
術後一年後のパノラマ写真

⑥現時点
術後10年


特に問題なく口腔内で機能しております。


患者さんは元気に日常生活を送っております。遠方からの来院(現在84歳)























