①きっかけ

2015年3月左下6番の歯肉の腫れ、噛むと痛い、などの主訴で来院。

レントゲン写真の画面中央の歯です。歯根はひび割れ(歯根破折)を起こして、                 そこに細菌が入り込み炎症を起こしています。炎症のせいで歯根の周りの骨が溶けて、        黒い影として映っております。

保存不可と判断し(歯根破折は基本的に直せません)。                       即日患者さんの同意のもと抜歯をしました。

②抜歯直後

2015年5月、歯肉の治癒を待ち、一本義歯を装着。                       写真はイメージです

なぜ抜歯後2か月待ったかというと、歯肉の治りを待ちました。                  抜いた直後はもちろん歯根の入っていた分の穴が開いています。                   そこから歯肉のでこぼこが解消されるのに2か月かかったということです。

③インプラントオペまでの経過

2016年1月のレントゲン写真です。                             抜いた後の歯肉は2か月ほどで平らになりますが、                          実はその中で骨が修復されるのにはもっと時間がかかります。

今回も抜歯から10か月たってレントゲンで骨の上がり具合を確認しました。まだ、黒い空洞のようなものがありますが、そこは骨密度が低いだけで、骨自体はできております。             骨の一番上のところがきれいな一直線になっておりますので、                   骨密度は低くとも骨はそこまで上がってきているのが見てとれます。

この時点でインプラント手術をできそうですが、慎重に事を進めたく、               そこからさらに約半年ほど骨の治りを待つことにしました。

④インプラントオペ

2016年6月のインプラントオペ時の写真です。ここでの注目点はインプラントの本数です。    

例えば前歯や小臼歯などは歯の一本欠損に対し、インプラント一本で対応しますが、             それは元々そのくらいのスペースしかないからです。

それに対し、上下額の大臼歯、6番7番は歯も大きく、歯根も2~4本あります。          それに対して何本のインプラントで対応するか?

歯根が2本なら2本のインプラントで対応する。これも正解(やや古い)。

歯が一本なのだから太めの一本のインプラントで対応する。これも正解。

広いスペースに細いインプラント一本で歯を作りました。                     インプラントに対して被せ物が大きくて左右にゆすられそうです。                    インプラントはゆすられる力には弱いのです。

細いインプラント2本に増やしました。                             これで強度はがっちり。                                          長持ちが期待できそうです。

太いインプラント1本で対応しました。                              これも強度は十分そうです。

ですが、太い一本というのはできる場所に限りがあります。

歯列を上から眺めてみます。

細い2本のインプラントで対応した場合。

一番上の矢印はあごの骨の幅を示しています。幅的に余裕がありますね。

縁い一本のインプラントで対応した場合。

太いので、あごの骨の幅からはみ出てしまいそうです。

インプラントは骨の中に余裕をもって埋め込まれなければ長持ちが期待できません。         太いインプラントを使うということは、                             横方向だけでなく縦方向にも骨が十分にないといけないわけです。

そして今回は骨の幅があまりなかったので、細いインプラント2本で対応したわけです。

⑤予後

約10年後の現在も健全に口腔内で機能しております。

SHOFU DENTAL DIGITAL CAMERA