こんにちは!

いきなりですが、妊娠中には口の中の環境も大きく変わるって知ってましたか?

体の変化にばかり目が行きがちですが、口の中の変化を気にすることもとても大事なのです。

口腔環境の変化が流産や早産につながることも…!?

今回の内容は、そんな妊娠中の口腔内の変化と歯科治療について詳しく解説します!

〇妊娠から出産まで

やっと待ち望んだわが子がお腹に!

妊婦さんはもちろん、旦那さんや両親の嬉しさもひとしおですが、妊婦さん自身は初めての妊娠・出産となれば多くの不安もあるのではないでしょうか。

まずは妊娠の期間とその分類をおさらいしてみましょう。

●妊娠初期

妊娠初期とは4週から15週の時期を指します。

妊娠1ヶ月から3ヶ月にかけてといった頃でしょうか。

この頃、受精卵は驚異的な速さで成長しています。

特に人間のカタチに近づいていくのはもちろんこと、胎生4週ころには重要な神経系や心臓・血管などが分化(成長し、機能を発揮するようになること)していきます。市販の妊娠検査薬で検査が可能となるのは大体胎生5週からとなります。妊婦さん自身が気づいていない段階で、お腹の中では受精卵が人間へと近づいているのです。

妊娠3ヶ月ごろになると、手足が伸び、ほぼ人間のカタチへと成長しています。

また、妊婦さんのつわりがピークを迎えるのがこの妊娠初期になります。

つわりの原因ははっきりと明らかになってはいないようですが、急激な体の中の変化(ホルモンや代謝の変化)に母体が追いつかないためと考えられているそうです。母体が必死に赤ちゃんの成長のための準備をしているのですね。

つわりの症状は様々ですが、吐き気によってちゃんと歯磨きができないなど、お口の中にトラブルが起きるのもこの頃です。飲み物もうけつけない、という場合には唾液量が減り、虫歯ができやすくなります。

逆に常に食べていないと気持ちが悪いといった食べづわりの方も、虫歯になりやすくなります。

特に妊娠初期には体内のホルモンバランスの変化によって、口腔内の細菌叢や唾液の質が変化することにより、つわりがない場合でも歯肉炎や歯周病になりやすくなります。さらに、親知らずが埋まっているところが腫れて痛い、といった症状も出やすくなります。

●妊娠中期

16週から27週にかけての時期を妊娠中期と呼びます。

一般的に安定期と言われる時期です。

安定期といわれる理由は、胎盤が完成し赤ちゃんが流産する可能性も低くなり、母体の心身が安定するためです。

だんだんとお腹が大きくなり、妊婦らしい体つきになるのもこの時期です。

赤ちゃんはお腹の中で動き始めるようになり、胎動を感じることが出来るようになります。

しっかりと食事をとれるようになり、健康的な生活を送れるようになるこの時期、妊婦さんにとっては一番歯科治療に適した時期でもあります。

●妊娠後期

28週以降を妊娠後期とよびます。

長かった妊婦生活もあともう少しで終わり、といったところでしょうか。

37週以降になると正産期と呼ばれ、いつ赤ちゃんが出てきてもおかしくないという時期になります。

ただし、油断は禁物です。

この頃、お腹は最大限に大きくなります。

お腹のなかで赤ちゃんが大きくなると、胃が圧迫されるために食事がちゃんととれなくなったり、すこしの移動で息切れや動悸を生じやすくなります。

また、妊娠性高血圧症候群や妊娠性糖尿病、貧血、切迫流産などを起こしやすくなります。

更に、赤ちゃんが生まれる準備をするために、骨盤やその周りの靱帯がゆるむことで姿勢が変わります。そのため、これまでは平気だった体勢がとれなくなり、腰痛を引き起こすことがあります。

以上のことから、歯科治療をするための姿勢が妊婦さんの負担となることも考えられますので、この時期の歯科治療はあまりおすすめしません。

〇妊娠中の歯科治療

では、妊娠中に歯科治療が必要な場合にはどうしたら良いのでしょうか。

ずばり「妊娠中期に必要な治療は終わらせておく」ことをおすすめします。

妊娠初期は赤ちゃんにとって重要な組織ができあがる大事な時期です。

歯科治療で一般的に使用される麻酔薬や短期間服用の抗菌薬などは胎児に影響する可能性は低いとされています。

ただし、薬剤によっては妊娠初期での長期の服用や高用量の服用によって催奇形性(薬物の服用によって胎児に奇形が起こる可能性)が高いものもあります。

そのため可能な限りの安全性を確保するために、安定期といわれる妊娠中期での治療を推奨しています。

妊娠後期になると催奇形性などの危険性は低くなりますが、妊娠性糖尿病や妊娠性高血圧症候群の場合には歯科治療がむずかしくなることもあります。

歯科治療中の体位が妊婦さんの負担になることもあるため、やはり可能な限り妊娠中期での歯科治療を推奨しています。

また、妊娠中であっても歯科用レントゲンは被ばく量が限りなく少量のため撮影が可能です。歯科治療のために必要な場合にはレントゲン撮影を行います。

その際、余計な被ばくを抑えるため、必ずお腹を保護する防護エプロンを使用して撮影を行います。

なにはともあれ、これから妊娠したい、子供を望んでいるという場合には妊娠前から定期的に歯科医院でのメンテナンスを続けていくことが重要です。

妊娠している可能性があったり、妊娠がわかった場合には、必ず歯科医師へ伝えましょう。母体に負担の少ない治療の方針を提案してくれるはずです。

また、つわりが辛いときの歯磨きの仕方や、歯ブラシが出来ない時の対処方法などもお教えすることができます。

赤ちゃんを望むなら、葉酸のサプリメントも大事ですが、歯科医院での定期健診も忘れずに!

〇まとめ

・妊娠初期は口腔内環境が変わりやすく、虫歯や歯肉炎、歯周病になりやすい。

・歯科治療を行うなら妊娠中期に。

・歯科治療で用いられる一般的な薬剤や歯科用レントゲンが赤ちゃんや母体に影響を及ぼすことは少ないとされている。

・妊娠前から定期的な歯科医院でのメンテナンスを習慣に。