普段患者さんからの質問として、電動歯ブラシを使用した方が汚れがとれますか?というものがあります。結局のところ汚れさえ取れていればどれを使用しても良いと思いますが、聞かれる中で多い疑問の一つです。今回は電動歯ブラシの特徴を確認していきます。

〇電動歯ブラシはそもそもどういうものか

電動歯ブラシはもともと高齢で上手く手が動かせない方などに対して特に有用とされていましたが、近年では一般の方も使用するようになってきています。                      歯ブラシの毛が機械によって動くため、手を動かさずともしっかりと歯に当てることさえ出来ていれば汚れを落とせます。                                     そのため、手で磨くよりもこちらを使用して歯磨きをした方が良いかという疑問を持たれることが多いようです。

●電動歯ブラシのカテゴリー

電動歯ブラシといっても最近は種類が多くなり、3つのカテゴリーに大きく分けることができます。

①電動歯ブラシ

②音波ブラシ

③超音波ブラシ です。

これらは歯ブラシの動きかた(1秒間の振動数:Hz)によって分けられます。

①の電動歯ブラシは1分間に3千から7千回という高速で動く電動歯ブラシです。          ②の音波ブラシは1分間に2万から4万回の振動により歯を磨きます。200から300Hzの音波振動をします。                                            ③の超音波ブラシは160から200万Hzという幅の広い振動数で汚れを除去します。

振動数が細かいので非常に汚れを取ってくれると思いがちですが、細かすぎるので普通の手磨きの様に歯ブラシを動かして清掃する必要があります。

〇電動歯ブラシの動き方に違いはある?

電動歯ブラシには先ほどの振動数の違いの他にブラシの動き方により種類が分類されます。

①回転運動型

②前後(左右)振動型

③微振動型

に分けることができます。

●回転運動型

回転運動型は回転の中心が大きく動かないので外側を歯に当てることにより清掃します。      外側を上手く使う様な磨き方で例えば歯と歯の間や歯と歯茎の境目などを清掃します。       このタイプは基本的にはブラシは円形なのでコンパクトで歯に沿わせやすいです。

●前後(左右)振動型

前後振動型は毛の動きと同じ方向に動かすと汚れの取り残しが生じてしまいやすくなります。    このタイプの場合には歯の面に当てる時は、すこしずらしながら歯を磨くとその欠点が抑えられます。

●微振動型

③の微振動タイプは振動の幅が極めて小さいので、基本的に歯に当てるだけでなく少し自分で動かす必要があります。                                       歯や歯茎には他のタイプよりも振動が抑えられているので優しく当てることが可能です。      しかし、上手く動かさないと汚れが取り残しやすくなってしまいます。

この様に電動歯ブラシは振動数と動き方で区別されます。

〇電動歯ブラシの利点と欠点 手磨きと比較して

電動歯ブラシの種類を確認したところで、実際には手磨きと比べてどの様な利点・欠点があるか確認しましょう。                                         ここでは主に販売されている電動歯ブラシと音波ブラシについて確認します。

●電動歯ブラシの利点

電動歯ブラシの利点としては主に2つ

①汚れを取る効率がよい

②手が動かしにくい方でも汚れを落としやすい

①は電動歯ブラシはそのものが微細に動くため、自分の手で磨くよりも汚れの除去効果が高いと思われます。短時間で汚れを取ることが可能となり、普段手で磨いていた時にかかっていた歯磨き時間が短縮される可能性があります。

②は前述の様に手が動かしにくい方でも振動によりブラシを歯に当てるだけで汚れを取ることが可能となります。手で磨くよりも汚れを取ることができる様になり、自身で口腔ケアを行いやすくなると思われます。

●電動歯ブラシの欠点

電動歯ブラシは利点だけではなく欠点もあります。

①高価である

②電気代や電池代が必要

③使い方によって効果が得られない

①はご存知の通り、歯ブラシは通常数百円で購入可能です。しかし、音波ブラシなど最新機種では1万円を超えるものがあり、替えのブラシは正規品のものだと数千円します。普通の歯ブラシよりも高額です。

②は基本的には充電式の物が多く、充電のために電気代がかかります。多くの電気代はかからないものの普通の歯ブラシではかからないコストです。

③ここが非常に大切なことですが、動かし方や歯への当て方がきちんと出来ていないと汚れは取れません。また、ブラシの当て方が間違っている場合には歯茎を傷つける恐れがあります。音波ブラシは当てるだけで汚れを取ることが可能となりますが、手磨きの時の癖で動かしてしまうと汚れの除去効果が落ちます。また、よく磨けるので歯に力をかけてブラシを当てる方がいます。適切な圧でなければ汚れの除去効果が落ちるのでこれも注意が必要です。圧が強いと歯や歯茎にダメージを与える可能性があります。

●電動歯ブラシの使用と手磨き 比較

結局どちらが良いのかということになりますが、結論どちらでもきちんと磨けていればどちらを使用しても良いのです。                                      電動歯ブラシ使用でも歯ブラシによる手磨きでも磨けていなければ意味がありません。       電動歯ブラシを使用しているから大丈夫と過信せずに、磨き残しがない様に磨けていることが大切になります。                                                どちらにも言えることは、歯と歯の間は磨き残しが多いです。フロスや歯間ブラシの使用は必ず必要になります。

〇まとめ

電動歯ブラシの種類や利点・欠点を確認しました。                       どれが適切なのかは歯科医院で確認する様にしましょう。                      基本的には手で磨く時の磨き方や歯へのブラシの当て方が出来ていないと電動歯ブラシを使用しても効果が得にくいです。                                     まずは歯ブラシのやり方が合っているかを確認する様にしましょう。               どの程度磨けているか判断するには歯科医院で確認するか、自身で歯垢の染め出し液を購入して染めてみるのも一つの方法です。人それぞれに歯磨きが難しい場所があるのでそれを確認しましょう。