銀歯が取れて歯科医院を受診する患者さんは多くいます。                    患者さんの中にはその取れたものをそのまま戻して欲しいという希望を持つ方や同じ様に詰め物や被せ物をして欲しいという方がいます。                              しかし、状況によっては同じ治療法を選択することができないことがあります。          今回はその場合の最たる例を挙げて説明をしています。                     できない場合があることを知ってもらう目的もあります。

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〇銀歯が取れる原因

銀歯(詰め物や被せ物)が取れてしまい、歯科医院を受診した経験のある方は多いと思います。銀歯が取れる原因として多いものとしては

①銀歯ではなく歯が欠けた場合

②銀歯が歪んだ場合

③虫歯になった場合

があります。

この様な状況になった時には、単に詰め物や被せ物を再び装着しようとしても上手く付かないことが予想されます。                                        また、元通りセメントなどでくっつけたとしてもすぐに外れてしまうことが考えられます。     今回は特に銀歯(詰め物)についてそれぞれ細かく見てみましょう。

●銀歯が取れる原因①銀歯ではなく歯が欠けた場合

銀歯は金属のためそれ自体が大きく欠けたり、壊れたりすることは頻度として多くはありません。  しかし銀歯が入っている歯が欠けることがあります。                      銀の詰め物が小さければあまり起こりませんが、詰めている銀歯が大きいと残っている自身の歯が薄くなるところがでてきます。                                 

日常において通常、歯同士が接触することはありませんが、食事などでは大きな力がかかります。  すると、薄くなっている歯が欠けることがあるのです。                     銀歯はセメントで歯にくっつけてあるので、歯が欠けると一緒に外れてきてしまいます。

●銀歯が取れる原因②銀歯が歪んだ場合

銀歯はそれ自体の厚みが厚ければ歪むことはあまりありません。                 しかし、薄い場合には咬む力によって銀歯が歪んでしまうことがあります。            銀歯を薄くならないようにするには歯を削り厚みを確保する必要があります。            ここで問題になるのが、歯の神経が生きている場合です。                   

歯の神経がある歯を削れば当然しみる可能性が出てきます。                   厚みを出すために深く削れば、それに準じてしみる症状や、痛みが出ることがあります。      ここには個人差があり、大きく削ってもあまり痛みを感じない方がいる一方で、少ししか削らなくても痛みを感じてしまう方もいます。                              

後者の場合には詰める金属を薄くせざるを得ません。                      特にその様な場合において噛み合わせに関与する場所の詰め物は歪むことがあるのです。

●銀歯が取れる原因③虫歯になった場合

虫歯になって銀歯が取れてしまうということは想像しやすいと思います。             虫歯になると詰め物をしている歯が崩壊し、セメントによる接着が失われてしまいます。      勿論、この様な場合に外れた金属を再び戻しても上手くつかないことは言うまでもありません。  

一般的には金属が虫歯になるのではなく、歯と詰め物の境などから虫歯が始まります。       小さい虫歯であればその部位だけ取り除いて再びつけることが可能な場合はあるかもしれませんが、銀歯が取れる様な状況でその様なことは多くありません。

〇銀歯(詰め物)が取れた場合の治療法

銀歯が取れる原因を確認したところで、取れた場合の治療法を確認してみましょう。        上記理由で外れた場合には、再び銀歯を戻すことはあまり現実的でないことが多いです。      どの様にして治療するかを確認しましょう。

①銀歯(詰め物)の面積を大きくする

②銀歯を詰め物ではなく被せ物にする

③隣の歯と詰め物を連結させる

それぞれを確認してみましょう。

●銀歯が取れた場合の治療法①銀歯の面積を大きくする

銀歯の面積は可能な限り小さい方が歯を削る量が少なくて済みます。               虫歯を削るために面積が広くなってしまうことがありますが、虫歯が小さい場合には削る面積を小さくして詰めます。                                       しかし、面積が小さいと噛み合わせが強い場合などで外れてくることがあります。         この場合には詰める面積を大きくし、部分的に被せる様な形態にして治療することがあります。   元々小さい詰め物をしていた歯の場合にはこの処置をすることがあります。

●銀歯が取れた場合の治療法②銀歯を詰め物でなく被せ物にする

元々の詰め物が大きい場合において、その歯が再び虫歯になると今度は被せて治すことが多いです。 同じような形態で詰めようとすると、残っている自身の歯の部分に薄い部分が出てきてしまいます。 すると、そこが欠けやすくなります。                              残っている歯を欠けないようにするためにその場合は被せて治療することがあるのです。

●銀歯が取れた場合の治療法③隣の歯と詰め物を連結させる

この処置は一般的ではなく、限られた条件で効果を発揮することがあります。 

例えば、歯周病などで歯が揺れている場合、対合歯(噛み合う向かい合わせの歯)が無く、挺出(歯が歯茎から抜けるように動いてしまう)を防止する場合、歯を削る量が確保できず、神経を取る処置を避ける場合などが考えられます。    

銀歯を連結させると汚れの付着が起きた時に上手く清掃できないことがあり、歯を削る量も必然的に増えるので多くは行いません。                                 しかし、詰め物をする歯と隣接する歯の状況によっては行うことがあります。

〇まとめ

銀歯が取れる理由はいくつかあり、治療法もいくつかあることを確認できたでしょうか。      虫歯で銀歯が取れることは多いですが、それ以外にも詰め物の状態や噛み合わせの状態によっても銀歯の外れやすさは変わってきます。

外れた金属を元に戻す治療や取れた銀歯と同じ形態で治療する方法ができる場合とそうでない場合があります。                                          できない場合に無理を通すと後々で再治療を行うことになる可能性が高いです。           後々でトラブルになることがあるので担当医とよく相談の上、治療方針を決める様にしましょう。