矯正治療は、歯並びや噛み合わせを改善するために行われる治療ですが、治療中にあごの痛みを感じることがあります。特に、初めて矯正装置を装着した直後や調整後に、痛みや違和感を覚える人は少なくありません。では、なぜ矯正治療によってあごが痛くなるのか、その原因や対策について詳しく見ていきましょう。
1. 矯正治療によるあごの痛みの原因
(1) 歯の移動による影響
矯正治療では、ワイヤーやマウスピースを使用して歯を少しずつ動かします。この歯の移動に伴い、周囲の組織に負担がかかり、一時的に痛みを感じることがあります。特に、噛み合わせの調整が行われる際に、あごの関節(顎関節)にも影響が及び、痛みを引き起こすことがあります。
(2) 顎関節症の発症や悪化
矯正治療中にあごの痛みが強くなる場合、顎関節症が関係している可能性があります。顎関節症とは、顎の関節や筋肉に異常が生じる状態で、症状としては以下のようなものがあります。
- 口を開け閉めする際の痛み
- あごがカクカクと音を立てる
- 口が大きく開かない 矯正治療によって噛み合わせが変わると、あごの関節にかかる負担も変わるため、一時的に顎関節症の症状が現れることがあります。

(3) 筋肉の緊張
矯正装置によって歯の位置が変わると、顎の周囲の筋肉にも影響を与えます。特に、奥歯の噛み合わせが変化すると、あごの筋肉が慣れるまでに時間がかかり、痛みや疲労感を引き起こすことがあります。
(4) 矯正装置の影響
ワイヤー矯正やマウスピース矯正では、装置の違和感が原因で無意識にあごに力を入れてしまうことがあります。特に、無意識のうちに歯を食いしばったり、あごを強く噛みしめたりすることで、あごの痛みを感じることがあります。

2. あごの痛みを和らげる方法
(1) 痛みがあるときの対処法
矯正治療によるあごの痛みが軽度であれば、以下の方法で対処できます。
- 温める: あごの筋肉が緊張している場合、蒸しタオルなどで温めると筋肉がリラックスし、痛みが和らぐことがあります。
- 冷やす: 炎症を伴う強い痛みがある場合、氷をタオルで包んで冷やすと、痛みを軽減できます。
- マッサージ: 顎周りの筋肉を優しくマッサージすることで、血流が良くなり、緊張がほぐれます。
(2) 痛みを予防する方法
矯正治療中にあごの痛みを予防するために、以下のことを意識すると良いでしょう。
- 硬い食べ物を避ける: 矯正中は硬い食べ物を噛むことであごに負担がかかるため、できるだけ柔らかい食べ物を選ぶようにしましょう。
- リラックスする: ストレスが原因であごに力が入ることがあるため、深呼吸やストレッチを行い、リラックスを心がけることが大切です。
- 正しい姿勢を保つ: 姿勢が悪いと、あごの関節や筋肉に余計な負担がかかります。特に、スマートフォンの使用時などは、姿勢に注意しましょう。
(3) 痛みが続く場合は歯科医に相談
痛みが長引く場合や、顎関節症の症状が悪化する場合は、歯科医に相談することが重要です。噛み合わせの調整や、装置の調整を行うことで、痛みを軽減できる可能性があります。
3. 矯正治療とあごの健康を両立するために
矯正治療は、長期的に見れば歯並びや噛み合わせを改善し、口腔全体の健康を向上させるものですが、治療の過程で一時的にあごに負担がかかることがあります。しかし、適切な対処をすることで、痛みを最小限に抑えることが可能です。
矯正治療中のあごの痛みが気になる場合は、無理せず歯科医と相談しながら、無理のない範囲で治療を進めることが大切です。正しい知識を持ち、適切なケアを行うことで、快適な矯正治療を実現しましょう。