〇治療と予防の必要性を再認識しましょう

会社の定期検診や入社時の健診、人間ドックなど全身的なトラブルがないか気にする方は多いと思います。                                             一方で歯科は痛みなど症状がなければ極力避けるという方が多いかもしれません。 

歯科治療は痛い、怖いなど負の印象が強いことは確かです。                    しかし、放っておいてよくなるものではありません。                        たまに歯が痛んでいたが2、3日したら痛くなくなったという方がいますが、            これは治っているのでしょうか?

話はちょっと変わりますが、会社の歯科検診はあまり正確ではありません。             きちんとした診断をするにはレントゲンを含むそれ相応の検査が必要で、              たった5分お口の中を見たくらいでは隠れた病気は見つけられません。               ですから、会社や学校の歯科検診は                              「歯科医院にかかるためのきっかけ」ぐらいに意味にお考え下さい。

●治療の必要性

病気は2種類あるともいえます。

①症状が出てから対処するべき病気。

②症状が出る前に対処しておくと人生で得をする病気

①は例えば風邪などがそうでしょう。                              風邪にかかってもいないのに風邪薬を飲む人はいません。                      風邪をひいてからの対応になります。

②は例えば癌などがそうでしょう。                               早期発見できれば、軽い処置で済みますし、                           命にかかわることも少ないようです。 

                             

●では歯科治療は?

歯科治療は②に近い病気と言えます。                              虫歯や歯周病が軽いうちですと軽い処置で済みます。

そして癌などと同様に、初期症状が現れないことが多いです。

そしてこれは歯科だけの特性ですが、予防的な処置が歯科医院でできます。

風邪の予防が個人の努力でしかできないのと少し事情が違います。

●予防の必要性

歯科において予防は自身で行うセルフケアと歯医者で行うプロフェッショナルケアに分けられます。

セルフケアとはいわゆる歯磨きですが、                             自身の口の中は見えるところもありますが、                           歯と歯の間、歯を支えている骨の状態などは自身で確認することは不可能です。 

歯科医院で定期検診をして、きちんとセルフケアができているか確認してもらう必要があります。

不十分なところはプロフェッショナルにケアをしてもらう必要があります。             これが歯科医で行ういわゆる「クリーニング」です。

もちろん、虫歯の有無も検査の対象です。                            検診をして何もなければ掃除をしてまた数ヶ月や半年などメインテナンスにすぐ移行できます。   

仮に治療部位があったとしても、予防をしっかりと行っていれば、大事にならず治療も短期間で済むでしょう。

〇症状がないのに治療が必要になる?

歯科の2大疾患、虫歯と歯周病に注目すると症状がないことは決して珍しいことではありません。   特に歯周病に関して言えば、症状が出てからではかなり進行している可能性があると言えるでしょう。

●症状がないのに治療が必要になる? ~虫歯について~

虫歯は一般的に進行するに従って、しみる症状や痛みが出るということは想像がつきやすいと思います。                                            勿論この様に虫歯の進行に比例して症状が出ることもあります。                  しかし、虫歯が進行しているにも関わらず、症状がほとんどない場合があります。 

上の図のように、神経に虫歯が近づいていても何も症状が出ないことはよくあります。この時点での治療ですと、神経を取る必要なくできることが多いのです。

痛みが出てからの治療ですと、同じ虫歯でも、神経を取る治療になりそうです。           神経が痛がって症状が出ていますから。

ここまで虫歯が大きくても、症状が出ないことが割とよくあります。                患者さんとしては「何か穴が開いている」と気が付いてはいますが、                「歯科医院に行きたくない」という思いが強いのか、                        「痛くないから放置しよう」ということなのでしょう。

この時点での治療は「抜歯一択」になります。                          虫歯を除去した残りが少なすぎるからです。                           元の形に修復するきっかけの部分が少なすぎてできないのです。 

また、この状態を放置しておくこともリスクがあります。                     細菌感染を起こしていますので、いつ症状が出てもおかしくはないのです。             しかも、その症状はとてもきつくなる可能性があります。                     例えば、                                           歯茎がちょっと腫れた、噛むとちょっと痛い~大きく顔が腫れた~熱が40度近くに上がった~入院した~死亡。

どの程度の症状がいつ発現するのか?

神様にしかわかりません。 

●症状がないのに治療が必要になる? ~歯周病について~

歯周病は初期には症状がありません。                              あっても歯茎が腫れる、歯磨きの時に血が出るなどの症状です。 

中等度に進行していくと少し歯が揺れる、歯茎から膿が出る、などがおきますが鈍感な方は気づかないことも多いのです。

末期になってやっと口が臭いといわれた、歯がグラグラしてうまく噛めない、といった症状が現れます。

歯周治療は「どれだけ根の周りをきれいにできるか?」にかかっています。                       従って、症状がほとんどない、軽いうちに治療をするのは簡単ですし、               重くなってからでは「いまさらきれいにしきれない」ので歯を抜くことになります。            

〇歯科医院に行くのが良いか迷ったら

歯科治療においても早く見つけて早く治療した方が治りやすいのは想像しやすいでしょう。                                          歯科では虫歯と歯周病が治療の半分以上を占めます。                       虫歯になっても歯が痛くないことは良くあることです。                      歯周病にかかっても症状がないことも良くあります。  

症状がなくても罹患しているのだから、                            「症状が無いのだから大丈夫だろう」というのは何の根拠もありません。

そして、初期の段階で適切な処置を行えば、軽い処置で治癒するのです。              処置をしなければ必ず悪化します。必ずです。

そういった意味で、歯科治療は癌に対する取り組みに似ています。 

人間の2分の1は一生に一度癌にかかる時代です。                       「症状が出始めたらもうヤバい」と言われることも多い癌です。 

私の父も何の健診もせず、突然腸閉塞を起こし、                         癌と診断され3年の闘病生活ののち死亡しました。       

歯科で命を無くすことは少ないですが、                             人体にとって重要な臓器を一つ無くすという意味では決して大げさではありません。                

人間には基本28本の歯があります。                              そして、どれも重要な役割があり、どこかを失えばその分必ずどこかに皺寄せがきます。       たった1本かもしれませんが、重要な1本です。                         何か気になることがあれば、間違えていてもいいので確認のために受診することをお勧めします。

〇まとめ

治療と予防の必要性や重要性という点から、症状の有無に関わらず歯科検診を受ける方が良いということがわかったでしょうか。                                   基本的な予防は歯科医院で行う検査とクリーニングになります。                  もちろん普段自分で行うクリーニングも重要になります。                     セルフケアと定期的なプロフェッショナルケアで自身の口の環境を整えましょう。          もしも普段と違う感覚、気になることがあれば歯科医院に受診する様にしましょう。