歯周炎は付着の喪失、歯槽骨の吸収、炎症の波及程度などから難易度や治療法が変わってきます。 進行状況や治療法について読者に理解を深めてもらい、治療に対する協力度を得られる様にすることを 狙っています。                                         治療について理解した状態で受診してもらいたいのです。

〇歯周炎と歯肉炎の進行状況について

●歯周炎の進行状況について

歯周炎は今まで侵襲性歯周炎と慢性歯周炎に分類されていました。                しかし、2018年に歯周炎の新分類として歯周炎という一つの病名になり

『ステージ』と『グレード』

に分類する様になりました。                                  歯周炎の重症度・複雑度が 4つのステージ(ステージIが最も軽症、ステージIVが最も重症)に、歯周炎の進行リスクが 3つのグレード(グレード A が最も低いリスク、グレードC が最も高いリスク)に分けられています。                                           グレードの決定に関しては喫煙や糖尿病といったリスクファクターが含まれるようになりました。

●歯肉炎の進行状況について

歯肉炎は歯周炎とは異なり、歯茎にだけ炎症が起きている状態です。               歯を支える骨の吸収や線維の吸収が起きることはありません。                  従って、歯周炎と比べ複雑ではなく軽症です。                         もちろん、歯肉炎から歯周炎に移行する可能性は考えられるので、歯肉に炎症が起きた場合には早めに対処すべきではあります。

●歯周炎と歯肉炎の進行状況の違いについて

歯周炎と歯肉炎の明らかな違いは歯周組織(歯根膜、セメント質、歯槽骨、歯肉)の破壊が起きること。                                            そして、歯とその周りを支える線維の喪失があるということです。                歯肉炎は可逆的な病変です。                                  つまり、原因(多くの場合は汚れ)を取り除けば元に戻ります。                 しかし、歯周炎になると周りの組織の破壊が起きてしまいます。                 これは不可逆的な変化です。                                 原因を取り除けば、炎症は落ち着きますが、元々の健康な状態には戻りません。          失われた歯周組織は炎症がなくなっても半分も戻っては来ません。                いかに、歯周炎を予防するか、早期に治療するかが重要になります。

〇歯周炎と歯肉炎の進行状況の治療について

●歯周炎と歯肉炎の初期治療法について

歯周炎と歯肉炎ともに共通して言えることは、プラークコントロールが重要になります。      これは簡単に言うと歯磨きになります。                            当たり前のことかもしれませんが、『やっている』場合が多く、『出来ている』という方は多くありません。                                           軽度の歯周炎であれば、原因の除去や汚れが付着しやすい環境を整えることによって歯肉の健康状態が改善することが示されています。                               歯肉炎はプラークコントロールによって症状は顕著に改善していきます。

●歯周炎と歯肉炎の進行治療法について

先に歯肉炎から説明しますが、歯肉炎は進行した場合には歯周炎に移行してしまいます。      従って歯周炎治療に移行することになります。                         治療が複雑になる可能性もあるので可能な限り進行させない予防が大切になります。         歯周炎は中等度以上になると歯周外科治療や口腔機能回復治療が治療計画に含まれてきます。    進行した歯周炎の場合には歯と歯茎の間にある歯周ポケットが深くなります。            初期治療で歯茎が引き締まってもまだ深いポケットが存在する場合には、そのポケットを除去する治療が必要となります。                                     また、重度の歯周炎になった場合には歯の保存が困難なこともあり、抜歯を余儀なくされることもあります。                                            抜けてしまった部位への治療も必要になります。

●歯周炎と歯肉炎の予防法について

個人で可能な予防は限られています。                             歯周炎と歯肉炎の両者に共通していることは歯磨きをしっかりと行い、炎症を引き起こすプラークを取り除くことです。                                               プラークは食べかすも含まれていますが、主体は細菌です。                   1mg中には1億以上の細菌がいると言われています。                        口の中は小さいと思うかもしれませんが、歯や歯茎、舌、歯周ポケットなどがあるため表面積は広いです。                                            細菌は小さく、いたる所にいて集まって集合体を形成していきます。               いかに歯や歯茎の汚れを落とすことができるかが予防に繋がります。                治療が上手くいくかにもかかわるので重要なのです。                       加えて歯周炎は全身疾患や常用薬、喫煙などとも深い関わりがあります。              それらの改善も個人で行う予防の一つです。

〇歯周炎と歯肉炎の進行状況に対する注意点について

●日常生活で気をつけること

日常生活で気をつけることは、上記の予防法に準じます。                    特に普段気をつけて欲しいのは、歯磨き時の出血です。                     歯ブラシをする際にブラシが歯茎に少し触れるだけで出血する場合は、炎症が起きている可能性が高いです。                                           数日間その部位があまり磨けていなかったことを意味します。                  出血するとそれ以上に出血させない様に触れず、簡単に磨いて終わりにしてしまう方がいるかもしれません。                                           しかし、その部位は磨けていなかった事になるのでむしろ積極的に磨いて欲しい部位です。     痛みが多少あるかもしれませんが、正しい圧力と角度で歯ブラシを当てることにより数日中に出血が治ることが殆どです。                                     ぜひ注目して下さい。

●歯周炎と歯肉炎の進行状況を確認する方法

家庭で進行状況を把握することは不可能です。                         歯科医院で正しい診査が必要になります。                              歯茎周りにチクチクと棒のようなものを入れられた経験がある方がいると思います。          それは歯周ポケットの深さを調べ、同時に炎症の有無を確認しています。                加えて、レントゲン写真撮影を行い骨の吸収の有無を確認します。                 それ以外にも咬み合わせのチェックや、場合によって型取りをして模型を作ることもあります。   一般的には状態が悪ければ追加の処置をする場合が多くなります。

〇まとめ

●歯周炎と歯肉炎の進行状況を理解しよう

歯周炎は不可逆的、歯肉炎は可逆的な病態です。                         いかに進行させないか、重症化させないかが重要です。

●正しい治療法と予防法を実践しよう

治療は個々人の口腔状態によって変わります。                         外科的な治療をするかは担当医とよく相談しましょう。                          個人レベルで行う予防は歯磨きと生活習慣の改善です。

●歯周炎と歯肉炎の進行状況に対して積極的に取り組もう

歯周炎は基本的に慢性の病変で痛みを伴うことがなく進行します。                歯茎の痛みや歯の揺れが生じた時にはすでにかなり進行していることが予想されます。       予防や治療は早期に行うことが肝心です。                           心配であれば早めに検診や治療を行う様にしましょう。