患者さんがどのような経過をたどってインプラント治療になってどのような段取りで最終処置になったかを解説します。

実際に当院で行った治療ですが、個人情報ですのでお名前、年齢、時期などは変えておきます。

患者さんのプロフィール:

TKさん。50歳代男性。病歴などは特にない健康体。

抜歯に至る道筋:

右上の前歯(2番)は1999年、当院にて虫歯のために神経を取り、根管治療を実施。

同年12月に健康保険の「硬質レジン前装冠」と装着し、治療を終了。

16年後の2015年3月に、装着してあった冠が脱離したとのことで来院。                見てみると、冠と歯の境目から虫歯が侵入し、接着が損なわれたために脱離したことが判明。      虫歯を除去してみたところ残りが少なく、根の再利用は不可能と判断し、              抜歯せざるを得なくなりました。(当日は脱離した冠を無理やり戻しました)

2015年4月に抜歯をし、同日あらかじめ用意しておいた一本義歯を装着し、審美性を担保。      いったん終了

インプラント手術:

10か月後の2016年1月に患者さんより同部をインプラントにして義歯を卒業したい旨の申し出があり、レントゲンやCTでの審査を経て、抜歯窩の骨は十分に治癒しており、骨量も十分であることを確認した。

2016年1月某日インプラント手術を実施。審美性を考慮し、術当日に仮歯を入れられるようにワンピースインプラントを選択。

当日の朝から、事前に出していた抗生剤を服用してもらう。

麻酔は普通の歯科治療に使うキシロカインカートリッジを2本使用。(全身麻酔ではないです)

歯茎を切開し、骨を露出させた状態で、目視下で慎重にインプラント窩を空け、インプラントを埋入。

レントゲンで理想的な位置に埋入できたことを確認後、歯肉を戻し縫合。

インプラント体に余計な力をかけないようにしながら、光重合のレジンを使って仮歯を装着。

写真は別症例ですがこんな感じです(左から2番目の歯)

投薬に関しては、事前に抗生剤(ジスロマック)と痛み止め(ロキソニン)を処方してあり、ジスロマックについては規定通り日一回×3日を手術当日の朝から服用してもらうようにしました。ロキソニンに関しては疼痛時随時使用。実際には1回だけ服用したとのこと。

術後管理:

手術した直後のインプラントは、たとえれば木材にセルフタップのネジを無理やりねじ込んだ状態です。  骨の細胞とインプラント体は摩擦の力で固定されているにすぎません。               生きた骨の細胞とインプラントがくっつくのには約2か月という時間が必要で、            その間なるべく力がかからないように管理しなければならないのです。

よって、ブラッシングは患部に当てないようにしてもらいます。ほかの場所は普通に当てて可。

その分、うがいを頻繁にしてもらいなるべく患部が汚れないようにしてもらいます。         具体的には一日10回程度。食事後、間食後はなるべくすぐうがいをしてもらいます。

週に2回ほど来院してもらい、院内でも患部を弱い力で丁寧に洗浄したりします。

術後1週間で抜糸。

術後1か月以降は週1回の来院で患部の洗浄。                           うがいは引き続き1日10回くらいを目安に実行してもらいます。

術後2か月でレントゲン検査をして、骨とインプラントがくっついていることを確認。

上部構造:

手術後2か月の2015年3月。仮歯を外し、型取り。10日後にジルコニアクラウンを装着し、全工程を終了。

画面右から2番目の歯です。両隣は健康保険の硬質レジン前装冠が入っております。         現在も特に問題なくお口の中で機能しております。