「転んで唇を切ったあと、傷は治ったはずなのに、触るとコリッとしたしこりが残っている」
「見た目が少し不自然で、人に見られるのが気になる」

このようなお悩みでご相談を受けることは、実は珍しくありません。
唇は目立つ場所であり、動きも多いため、ケガのあとの治り方によっては“瘢痕(はんこん)”が目立ちやすい部位なのです。

今回は
「唇をケガしたあとにしこりのようになってしまった場合、自然に見えるように治す方法はあるのか?」
という点について、患者さん向けにわかりやすく解説します。


そもそも、なぜ唇に「しこり」ができるのか?

https://www.researchgate.net/publication/270965008/figure/fig5/AS%3A601624426844162%401520449849065/case-1-Upper-lip-hypertrophic-scar-a-Pretreatment-B-1-year-after-treatment-the-1064.png
https://ajops.com/article/32021-the-role-of-scar-massage-in-cleft-lip-surgery/attachment/97090.jpg
https://www.researchgate.net/publication/333712856/figure/fig2/AS%3A960345757737010%401605975679918/Appearance-of-a-lip-scar-a-before-and-b-after-treatment.png

唇を切ったり強く打ったりすると、体は傷を治そうとして線維組織を作ります。
これは本来とても大切な治癒反応ですが、場合によっては

  • 線維組織が必要以上に増える
  • 硬く縮んだ組織として残る

といったことが起こります。

これがいわゆる
**「瘢痕治癒による硬結(しこり)」**です。

唇が特に瘢痕になりやすい理由

  • 会話・食事などで常に動く
  • 血流が豊富
  • 皮膚と粘膜の境界にある

このような条件が重なるため、
他の部位よりも治り方に個人差が出やすいのです。


この「しこり」は自然に治ることはある?

結論から言うと
👉 条件によっては、時間とともに目立たなくなることもあります。

特に次のような場合は、自然改善の余地があります。

  • ケガからまだ 6か月〜1年以内
  • 赤みや違和感が少しずつ減ってきている
  • 触ったときに、徐々に柔らかくなっている

瘢痕は「完成」するまでに半年〜1年ほどかかるため、
その途中段階であれば変化する可能性があるのです。


自分でできるケアはある?

医療機関を受診する前に、日常で気をつけられることもあります。

● 温める+やさしいマッサージ

  • 蒸しタオルなどで軽く温める
  • 指でやさしく動かす程度にマッサージ

👉 線維組織が少しずつ柔らかくなることがあります。

※強く揉んだり、無理に押しつぶしたりするのは逆効果です。


● 紫外線対策

唇の瘢痕は、紫外線によって
色が濃くなったり、目立ちやすくなったりします。

  • 外出時はUV対策のリップを使う
  • 日焼けしやすい時期は特に注意

医療機関でできる「自然に見せる」治療(切らない方法)

「完全に消す」ことよりも、
“第三者が見て気づかないレベル”にする
これを目標にした治療が現実的です。

ステロイド局所注射

瘢痕治療でよく行われる方法です。

  • 硬くなった瘢痕組織をやわらかくする
  • 盛り上がりを抑える
  • 数回に分けて少量ずつ行う

唇のしこり治療では
第一選択になることが多い治療法です。


レーザー治療

  • 赤みが強い場合
  • 表面の質感が不整な場合

このようなケースでは、レーザーを併用することもあります。
注射と組み合わせることで、より自然な見た目を目指すことができます。


どうしても目立つ場合は「手術」という選択肢も

しこりが完成してしまい、

  • 長期間ほとんど変化がない
  • 唇の形が明らかに歪んでいる

このような場合には、形成外科での瘢痕修正手術が検討されます。

ただし注意点もあります。

  • 「切れば必ず治る」わけではない
  • 再び瘢痕ができる可能性はゼロではない
  • 術後のケアが非常に重要

そのため、
いきなり手術ではなく、保存的治療から検討するのが一般的です。


よくある誤解

❌ 市販の塗り薬だけで完全に治る
→ 難しいことが多いです

❌ 強くマッサージすれば早く治る
→ 悪化することがあります

❌ 放置すれば必ず目立たなくなる
→ 硬いまま固定されるケースもあります


まとめ:現実的なゴールを知ることが大切

唇の瘢痕によるしこりは、

  • 完全に消すことは難しい場合がある
  • しかし
    「かなり自然に見える状態」に近づけることは可能

というケースが多いです。

「気にしなくていい」と言われても、
本人にとっては大きなストレスになることもあります。

悩んでいる場合は、
形成外科・美容外科での相談を一度受けてみることをおすすめします。


受診時に伝えるとよいポイント

  • ケガをしてからどれくらい経っているか
  • 痛みや違和感の有無
  • 見た目で一番気になる点

これらを整理しておくと、
より適切な治療提案を受けやすくなります。