「転んで唇を切ったあと、傷は治ったはずなのに、触るとコリッとしたしこりが残っている」
「見た目が少し不自然で、人に見られるのが気になる」
このようなお悩みでご相談を受けることは、実は珍しくありません。
唇は目立つ場所であり、動きも多いため、ケガのあとの治り方によっては“瘢痕(はんこん)”が目立ちやすい部位なのです。
今回は
「唇をケガしたあとにしこりのようになってしまった場合、自然に見えるように治す方法はあるのか?」
という点について、患者さん向けにわかりやすく解説します。
そもそも、なぜ唇に「しこり」ができるのか?


唇を切ったり強く打ったりすると、体は傷を治そうとして線維組織を作ります。
これは本来とても大切な治癒反応ですが、場合によっては
- 線維組織が必要以上に増える
- 硬く縮んだ組織として残る
といったことが起こります。
これがいわゆる
**「瘢痕治癒による硬結(しこり)」**です。
唇が特に瘢痕になりやすい理由
- 会話・食事などで常に動く
- 血流が豊富
- 皮膚と粘膜の境界にある
このような条件が重なるため、
他の部位よりも治り方に個人差が出やすいのです。
この「しこり」は自然に治ることはある?
結論から言うと
👉 条件によっては、時間とともに目立たなくなることもあります。
特に次のような場合は、自然改善の余地があります。
- ケガからまだ 6か月〜1年以内
- 赤みや違和感が少しずつ減ってきている
- 触ったときに、徐々に柔らかくなっている
瘢痕は「完成」するまでに半年〜1年ほどかかるため、
その途中段階であれば変化する可能性があるのです。
自分でできるケアはある?
医療機関を受診する前に、日常で気をつけられることもあります。
● 温める+やさしいマッサージ
- 蒸しタオルなどで軽く温める
- 指でやさしく動かす程度にマッサージ
👉 線維組織が少しずつ柔らかくなることがあります。
※強く揉んだり、無理に押しつぶしたりするのは逆効果です。
● 紫外線対策
唇の瘢痕は、紫外線によって
色が濃くなったり、目立ちやすくなったりします。
- 外出時はUV対策のリップを使う
- 日焼けしやすい時期は特に注意
医療機関でできる「自然に見せる」治療(切らない方法)
「完全に消す」ことよりも、
“第三者が見て気づかないレベル”にする
これを目標にした治療が現実的です。
ステロイド局所注射
瘢痕治療でよく行われる方法です。
- 硬くなった瘢痕組織をやわらかくする
- 盛り上がりを抑える
- 数回に分けて少量ずつ行う
唇のしこり治療では
第一選択になることが多い治療法です。
レーザー治療
- 赤みが強い場合
- 表面の質感が不整な場合
このようなケースでは、レーザーを併用することもあります。
注射と組み合わせることで、より自然な見た目を目指すことができます。
どうしても目立つ場合は「手術」という選択肢も
しこりが完成してしまい、
- 長期間ほとんど変化がない
- 唇の形が明らかに歪んでいる
このような場合には、形成外科での瘢痕修正手術が検討されます。
ただし注意点もあります。
- 「切れば必ず治る」わけではない
- 再び瘢痕ができる可能性はゼロではない
- 術後のケアが非常に重要
そのため、
いきなり手術ではなく、保存的治療から検討するのが一般的です。
よくある誤解
❌ 市販の塗り薬だけで完全に治る
→ 難しいことが多いです
❌ 強くマッサージすれば早く治る
→ 悪化することがあります
❌ 放置すれば必ず目立たなくなる
→ 硬いまま固定されるケースもあります
まとめ:現実的なゴールを知ることが大切
唇の瘢痕によるしこりは、
- 完全に消すことは難しい場合がある
- しかし
「かなり自然に見える状態」に近づけることは可能
というケースが多いです。
「気にしなくていい」と言われても、
本人にとっては大きなストレスになることもあります。
悩んでいる場合は、
形成外科・美容外科での相談を一度受けてみることをおすすめします。
受診時に伝えるとよいポイント
- ケガをしてからどれくらい経っているか
- 痛みや違和感の有無
- 見た目で一番気になる点
これらを整理しておくと、
より適切な治療提案を受けやすくなります。






















