歯と歯の間にできる黒いすき間、「ブラックトライアングル」。鏡を見ていて、「あれ?歯の間が黒く見える…」と気になったことはありませんか?
この現象は見た目の問題だけでなく、口腔内の健康にも影響を及ぼす可能性があるため、近年注目を集めています。
今回は、ブラックトライアングルの原因から治療法までを詳しく解説します。見た目のコンプレックスを解消し、自信をもって笑えるようになるための第一歩にしてみてください。
ブラックトライアングルとは?
ブラックトライアングル(Black Triangle)とは、歯と歯の間、特に歯茎の境目に現れる黒い三角形のすき間のことを指します。この部分には通常、「歯間乳頭(しかんにゅうとう)」と呼ばれる歯茎が存在しており、健康な状態であればすき間が目立つことはありません。
しかし、何らかの理由でこの歯間乳頭が退縮してしまうと、歯と歯の間に黒い影のような三角形ができ、それが「ブラックトライアングル」と呼ばれるのです。


ブラックトライアングルの主な原因
1. 歯周病による歯茎の退縮
もっとも一般的な原因が、歯周病(歯槽膿漏)による歯茎の退縮です。歯茎が炎症を起こして後退すると、歯間乳頭が失われ、ブラックトライアングルが目立つようになります。
2. 矯正治療後の変化
歯列矯正後に歯が正しく並んでも、歯と歯の形や歯茎の形状によってはブラックトライアングルが出現することがあります。特に大人の矯正では歯茎が硬くなっているため、退縮が目立ちやすい傾向にあります。あるいは歯並びが悪くて最初から歯間乳頭が存在せず、矯正治療で歯がきれいに並ぶことで空間が出現する場合もあります。
3. 加齢
年齢を重ねると、自然と歯茎がやせてくることがあります。加齢に伴う歯茎のボリューム減少も、ブラックトライアングルの原因の一つです。
4. 歯の形状
歯の形が三角形に近い場合(特に前歯)には、歯と歯の接触点が狭く、歯茎の隙間が大きくなりがちです。そのためブラックトライアングルができやすくなります。

ブラックトライアングルのデメリット
■ 審美的な問題
一番の問題は「見た目」です。ブラックトライアングルは話しているときや笑ったときに目立つため、コンプレックスになってしまう方が多いです。
■ 食べかすが詰まりやすい
隙間ができることで、食べかすが詰まりやすくなり、虫歯や口臭の原因になることがあります。
■ 歯周病のリスク
すき間ができることで清掃が難しくなり、プラーク(歯垢)がたまりやすくなります。これがさらに歯周病を進行させる悪循環につながる可能性があります。
ブラックトライアングルの治療法
ブラックトライアングルは自然に治ることは少ないため、専門的な治療が必要となります。以下に代表的な治療法を紹介します。
1. 歯肉の移植(歯周形成手術)
歯茎が極端に退縮している場合、歯肉を移植して歯間乳頭を再建する手術が行われます。特に審美性が重視される前歯部では、効果的な治療法です。ただし、難易度が高く、成功率には限界があるため、症例を選ぶ必要があります。
2. ボンディング(コンポジットレジン)
歯の隙間にコンポジットレジン(歯科用プラスチック)を少しずつ盛り付け、隙間を埋める方法です。比較的簡便で費用も抑えられるため、多くの歯科医院で行われています。ただし、見た目や耐久性には個人差があります。
3. ラミネートベニア
薄いセラミックのシェルを歯の表面に貼り付けて隙間を隠す方法です。審美性に優れており、前歯の見た目改善には効果的です。ただし、歯を削る必要があるため、慎重な判断が求められます。
4. ヒアルロン酸注入
美容皮膚科のように、歯茎部分にヒアルロン酸を注入することでボリュームを回復させ、ブラックトライアングルを目立たなくする治療です。即効性があり、ダウンタイムも少ないですが、定期的なメンテナンスが必要です。
5. 矯正治療の再調整
歯並びが原因でできている場合は、部分矯正やリテーナーの再調整で改善が見込める場合もあります。

自分に合った治療法を選ぶために
ブラックトライアングルの治療法は、原因や症状の程度、そして患者さんの希望によって大きく異なります。そのため、まずは歯科医院で口腔内をしっかりと診査・診断してもらうことが重要です。
「見た目が気になるけど、どうしたらいいか分からない…」
そんなときは、審美歯科や歯周病専門医に相談してみましょう。最近では3Dシミュレーションで仕上がりイメージを事前に確認できるクリニックも増えています。
まとめ|笑顔の自信は歯から生まれる
ブラックトライアングルは、加齢や病気、矯正後の後遺症として起こり得る身近な現象です。見た目だけでなく、歯や歯茎の健康にも関係してくるため、放置することはおすすめできません。
一人で悩まず、まずは信頼できる歯科医に相談してみてください。
適切な治療を受けることで、自然で美しい笑顔を取り戻すことができるはずです。
※当記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の症状や治療については歯科医院での診察を受けることをおすすめします。