「最近、歯が透けてきた気がする」「歯がしみる」「虫歯でもないのに歯が欠けた」――
もしあなたが過食嘔吐の習慣を抱えていて、こうした悩みを感じているなら、それは嘔吐による胃酸が歯を蝕んでいるサインかもしれません。

この記事では、過食嘔吐と歯の関係、歯がボロボロになる理由、実際の体験談、そして歯と身体を守るための対処法までを、できるだけ丁寧にお伝えします。


過食嘔吐が歯に与えるダメージとは?

過食嘔吐を繰り返すと、胃から逆流してくる胃酸が口の中に広がります。胃酸のpHは1〜2と非常に強く、これは金属や歯のエナメル質をも溶かすほどの酸性度です。

健康な人の唾液は酸を中和する働きを持ちますが、嘔吐を繰り返していると、唾液の分泌も不安定になり、酸が口の中にとどまりやすくなります。

歯がボロボロになる原因

  • 酸蝕症(さんしょくしょう):酸によって歯のエナメル質が溶け、象牙質がむき出しになってしまう。
  • 知覚過敏:冷たい飲み物や歯磨きで強くしみる感覚。
  • 虫歯になりやすくなる:エナメル質が弱まると、虫歯菌が簡単に内部に侵入する。
  • 歯の変色・透け:エナメル質が薄くなり、歯が黄ばんだり、先端が半透明になる。
  • 詰め物が取れやすくなる:歯の強度が弱まり、治療した歯ももろくなる。

実際の体験談:「もう笑えない…」私の歯が壊れていった日々

私が過食嘔吐を繰り返すようになったのは、大学2年のとき。ダイエットとストレス発散のために食べて吐くことが癖になってしまいました。

最初の異変は「冷たい水が歯にしみる」という感覚。虫歯だと思い、歯医者に行っても「虫歯ではない」と言われ、原因が分からないまま過ごしていました。

ある日、鏡を見てショックを受けました。前歯の先端が薄く透けていたのです。さらに奥歯の詰め物が外れやすくなり、歯がすり減って短くなっているのを感じ始めました。

歯科医に正直に「嘔吐の習慣がある」と打ち明けたとき、「このまま続ければ、将来的に総入れ歯になる可能性もある」と言われ、本気で怖くなりました。


歯を守るためにできる対策・ケア方法

過食嘔吐を完全にやめるのが理想ですが、すぐには難しいという人も多いと思います。少しでも歯へのダメージを減らすために、以下のケアを取り入れてみてください。

嘔吐後すぐに歯磨きはしない

胃酸で歯が軟らかくなっている状態で歯ブラシを当てると、エナメル質を削ってしまう可能性があります。
まず口を水やうがい薬でよくすすぎ、30分ほど経ってからやさしく歯を磨きましょう。

フッ素入り歯磨き粉を使う

フッ素はエナメル質の再石灰化を促し、虫歯予防や歯の強化に効果的です。市販の中でも高濃度フッ素配合のものを選ぶと良いでしょう。

キシリトールガムで唾液を増やす

唾液には酸を中和する働きがあります。食後や嘔吐後にキシリトールガムを噛むことで、唾液分泌を促進し、口腔環境を整える助けになります。

歯科医に相談する

過食嘔吐の症状があることを隠さずに、信頼できる歯科医に相談することが重要です。
必要に応じてマウスピースの作成や、フッ素塗布、歯の補修処置などを行ってくれます。


心と体の回復は一緒に

歯がボロボロになる原因は、嘔吐という「行動」の結果ではありますが、根本には心の問題があることがほとんどです。

過食嘔吐は自分を責めすぎてしまう人が多く、罪悪感と自己嫌悪のループに陥りがち。けれど、歯のケアをすることは「自分を大切にし始める第一歩」にもなります。

カウンセリングや専門のクリニックに通うのも選択肢のひとつ。回復には時間がかかっても、「変わろう」と思えたその瞬間から回復は始まっています。


まとめ:歯は一生のパートナー。今できるケアを始めよう

過食嘔吐による歯のダメージは、想像以上に深刻で、長期間放置すると取り返しのつかない状態になることもあります。

けれど、
✅ 嘔吐後のケアを丁寧に行う
✅ 歯医者と連携して治療する
✅ 心のケアも並行して取り入れる

この3つを意識することで、歯の健康を守りながら、心と体の回復を目指すことが可能です。

ボロボロになった歯も、完全には戻らなくても「これ以上悪くしない」努力はできます。未来の自分のために、今日から小さなケアを始めてみませんか?